牛乳の豆知識

項  目 概 要 説 明
受乳  
  工場での、受乳に際して、色沢、状態、風味、温度、比重、アルコールテスト等の検査が実施され、原料として受
 け入れ可能かどうか判  定されます。
  更に、受乳時のサンプルにより、酸度、脂肪率、全固形分、細菌数、抗生物質、塵芥異物、異常乳、残留農薬等
 の詳しい検査を行い、飲用牛乳として適当な品質かを確認します。
  受乳後、翌日までには、処理されています。


出荷  
  製造された商品は、サンプリングにより、製品検査が行われます。
  通常、安全を期すために、製造の翌日に販売店やスーパーなどの小売店に出荷されます


標準化

 
  原料乳は多くの要因で固形分量が変動します。通常は、製品中の固形分量(脂肪及び無視乳固形分)をほぼ同一
 になるように調整され  ます。これを標準化と言います。
  乳牛の個体差、飼料の種類、気温などの環境により、乳質は毎日のように変動しています。毎日おいしく飲んでい
 ただくためには、ある程度平準化する作業も必要になります。


牛乳の
殺菌方法

 一般的な牛乳の殺菌方法について説明します。 

 牛乳や乳製品は我が国において法令で加熱殺菌することが規定されています。
 現在、国際的には、

 62〜65℃で30分加熱殺菌する低温殺菌

 75℃で15秒殺菌する高温殺菌(HTST法)

 120〜130℃で2〜3秒加熱する超高温瞬間殺菌(UHT法)など

 いくつかの方法が実用化されていますが、我が国の牛乳はふつう超高温瞬間殺菌で処理されています。

 一般に牛乳は、65℃以上で変質し始めるので、それ以上の温度で殺菌する場合は最小限の時間にとどめるのが
 基本的条件になります。
 ところが、日本やオランダにおいては、その場合に発生する、加熱臭(こげ味)をコク味と感じ好まれる傾向があり、
 上記の標準より長時間殺菌されることもあります。

 ただし、その場合は、独特の牛乳臭さが後味として残るとともに、成分的にも殺菌処理時間に応じた影響を受ける
 ことになります。

 カルシウムの場合超高温瞬間殺菌では、カルシウムの一部が吸収されやすい可溶性から不溶性に変化します。
 しかし、胃の中で胃酸などの作用によって再びイオン状になり、消化吸収されやすくなります。
 口にはいるときはイオン状でなくても、小腸で吸収されるときには、イオン状に戻るわけです。
 
 タンパク質の場合超高温瞬間殺菌をしますと、タンパク質の20%を占めるホエータンパク質が、熱変成してしま
 います。
 これは、生卵をゆで卵にするのと同じ事で、栄養価が減ってしまうことも、消化吸収できなくなることもありま
 せん。


 ビタミンや乳脂肪は、逆で、ビタミンB群などは、加熱温度よりも加熱時間の長さの影響で破壊が多くなり、超高温
 瞬間殺菌の方が栄養価がたくさん保たれています。
 

  牛乳の処理工場では、牛乳はほとんどパイプの中を通りますので、外気に触れる機会はあまりありません。しかし、
 低温殺菌牛乳の場合は、殺菌中、長時間同じ場所に留まる必要がありますので、外気との接触で浮遊細
 菌に汚染される可能性が増えます。

 一部には「低温殺菌牛乳には有用な乳酸菌が生き残っていて、そのまま常温においてヨーグルトができる」
 と勘違い
している人もいますが、そのようなことはありません。

 乳酸菌が生き残っていると言うことは、その他の悪い雑菌も生き残っている可能性があり、それが増殖すれば食中
 毒の恐れ
もあります。

 ヨーロッパ諸国では、低温ないし高温殺菌が伝統的に主流を占めています。
 国土の広いアメリカや高温多湿の日本では、安全性を考え、超高温殺菌法が主に採用されるようになりま
 した。風土や習慣の違いがあります。

 特に、日本の高温多湿の夏は、殺菌効果の高い超高温瞬間殺菌の処理をした牛乳が、より安心して飲んで
 いただけます。


補足説明
 低温、高温、超高温の区別は正式に決められていませんが、国際的には、牛乳が変質しはじめる65℃を基準に、
 それ以下を低温と言います。
 75℃15分間の殺菌で、低温殺菌牛乳と称している場合もありますが、厳密には高温ですし、75℃まで加熱した
 場合、牛乳の組成を変質させないぎりぎりの殺菌時間は、15秒です。